制作の流れ

 

手軽に短時間で描ける技法でクリスマスプレートを制作いたします。





 1回焼成で完成させることが出来るわりには、結構描き込める点がポイントです。
 皆さんも是非作ってみてください。

 それぞれの画像をクリックすると拡大画像が見れます。  
第1回 やさしいクリスマスプレートの制作  2002/ 10/ 21/ Mon.
使用する道具
Step 1
使用する道具
イングレーズ絵具も魅力的ですが、今回は通常の上絵具を用いて描きます。特別な道具は特に用いませんが、水溶性の媒材と油性の媒材であるバルサムを組み合わせて使用するのが特徴です。

写真上段左より時計回りに、透明ホワイト(なくても良い)、上絵具の青、バルサム、テレピン、水溶性のメジューム、水入れ、トレーシングペーパー、タイル(パレット用)、セーブルの細丸筆00号、リス毛の丸筆4号、鉛筆、鉄筆、ペインティングナイフ、アンダーラップテープを折り畳んだもの。
転写
Step 2
転写
転写 拡大図任意の図柄をトレーシングペーパーに写し、白磁に転写します。今回は「月下の冬景色」といった風情のイメージです。白磁はスカシの入った18pの物をセレクトしました。

あまり細密に転写しても着彩時にかえって筆勢を損なう事につながり、また余分な線が仕上がりのイメージをつかみ辛くさせるので、程々にしましょう。
第一層目
Step 3
第一層目
第一層目 拡大図水溶性のメジュームで絵具をやや固めに練り上げ、水で希釈しながら大まかに青で着彩していきます。筆はリス毛のものを使用します。

この時点では大きな明暗をとらえるのが目的なので、あまり細かいところにとらわれないようにしましょう。風景の場合遠景から近景に描いていくと良いでしょう。

全体に描き終えたら、綿棒やスクレーパー(ひっかきペン)等で白色に残したい箇所の微修正を行います。特に細かい枝などを浮き立たせましょう。
第二層目
Step 4
第二層目
第二層目 拡大図一層目の水分が蒸発して乾燥したところを見計らって、バルサムで青を溶いたものをテレピンでやや希釈し、アンダーラップテープを折り畳んだものでパディングします。これでトーンの深みを与えます。ただしパディングしすぎると暗く沈んでしまうので注意します。

パディングに不慣れなときは希釈剤にエッセンシャルペトロールオイルやラベンダーオイルを用いると、比較的ゆったりと作業することが出来ます。

絵具がかぶりすぎた細部などはやはり除去します。
第三層目
Step 5
第三層目 拡大図
第三層目 拡大図いよいよ仕上げの描き込みです。

セーブル(テン毛)の細筆を用いて出来るだけ繊細な描き込みを行います。

絵画の構成要素である「点・線・面」のハーモニーを意識して単調なタッチに陥らないようにしましょう。

また、仕上げだからといってやみくもに個々の要素を強調すると、画面空間を壊してしまう点に気を付けましょう。
完成図
Step 6
完成図
完成図 拡大最後に白磁の縁を青でパディングします。約800℃で焼成して完成となります。

ある程度経験された方なら二時間も有れば仕上げられるので、是非皆さんも挑戦してみてください。

毎年この時期にオリジナルのクリスマスプレートやイヤープレートを制作するのを目標にされてみてはいかがですか?
 
技法の補足
水溶性のメジュームで溶いた絵具は水分さえ蒸発すれば、上層にバルサムなどの油性のメジュームで溶いた絵具で描く事が出来ます。この場合乾燥した水溶性メジュームの塗膜は油性分に侵される事が無いので、焼成しなくても安定した重色を行うことが出来ます。

絵画の世界では15世紀頃の北方絵画やフランドル絵画にこの手法を比較的多くみることが出来ます。
17世紀バロックの巨匠ルーベンスの油彩エスキースなどは、下層に効果的に水性分の絵具が使用されている好例です。

このように絵画組成的にみると水性分→油性分の重層は目新しい事ではありませんが、この技術がもたらす恩恵は絵画技術にとどまらずチャイナペイントの世界でも応用することが可能です。 
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