2003年 12月の優秀作品

12月の優秀作品は・・・椎橋 真木子 さん です!
絵付け歴:1年 制作時間:約16時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径30pの大作です。
原画はシリオル・シャーロック(1954-)の木蓮の植物画です。

背景にトーンを用いない植物画は一見、日本画的平面美を感じさせますが観察と熱中の結晶として、学術的にも芸術的にも興味深い様式を持っています。

今回の作品は絵柄と、それを受けとめる白磁の美しさを堪能できる作品として魅力溢れるものとなっています。上絵付けの特徴として吸収性の無い磁器という基底材に描く点があげられますが、これは描画感としてはやや特殊な感覚です。 この作品を見ると平滑で硬質な磁器面が最良の地として活かされており、作者が素材の持ち味にに敏感に対応しているのがわかります。

紙やキャンバス、板といった一般的な絵画の地とは異なる表現の可能性を感じさせてくれる点で、充実した絵付け作品と言えるでしょう。』
絵付けコース 優秀作品
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11月の優秀作品は・・・藤岡 史子 さん です!
絵付け歴:4.5年 制作時間:約12時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『既製品の図案をアレンジして気品と清涼感溢れる作品に仕上げました。 このようなカップ&ソーサーを使って迎える朝は清々しい気分になれそうですね。

図案を構成する各所に気持ちの行き届いた配慮がみられ、高い完成度を獲得しています。 鈴蘭の花は、盛り絵具でテクスチャーを高め、葉のグラデーションに応じた葉脈の抑揚の変化などには、高い技量がさりげなく使われています。 テクニックを前面に感じさせず、自然に作品に反映することが出来るのは大切な持ち味 といえるでしょう。

手描きの絵付け作品では表面に焼き付けられた図案から「絵具」の存在感をどの程度の バランスで主張させるかが大変難しい問題ですが、この作品はそういったバランスが大変良くとれた作例となりました。』
絵付けコース 優秀作品
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8月の優秀作品は・・・高橋 高子 さん です!
絵付け歴:1.5年 制作時間:約3時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『盛り絵具による絵付けは、洋絵具による彩色と作業的に異なる部分が多いのですがとてもバランス良く仕上がりました。

原画は色絵鍋島の尺皿より取りましたが、小振りの八角皿との相性も良いようです。本来、鍋島の絵付けは線描きを染め付けで行うものが多いようですが、今回は九谷風に線描き呉須を使ったので、短時間制作が可能となりました。この技法は着彩の折りに線描き呉須が溶け輪郭が不明瞭になりやすいのですが、色の置き方が巧みなために線描がよく残っています。

この技法が初挑戦とは思えないほど、色の盛り具合も自然で、伝統的な和絵付けの魅力をよく表している作品となりました。

今後は様々な種類の絵具との併用や箔などを使って表現の巾を更にひろげていきましょう。』
絵付けコース 優秀作品
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7月の優秀作品は・・・橋本 牧子 さん です!
絵付け歴:5年 制作時間:約18時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『現代版画作家の作品を展覧会でご覧になり、上絵付けで再現するという試みでしたが、なにぶん原画は多様な技術を用いている作品であったので、制作のビジョンを組み立てるのに大変苦心されたと思います。

金箔による装飾の施された背景は、やはり今回の絵付けにおいても同様に金箔を用いました。また、胴体の衣服の部分は白盛りやラスターも併用し、技法の見本市のような複雑な組成の作品となりました。

多様な技法を用いた場合、図案の部分部分の分離が生じがちですが、筆による緻密な作業の量と質が各工程をしっかりとつないでいる点が見逃せません。

今回の作品のように一見絵付けとは結びつきにくい図案でも、挑戦してみると新たな可能性を開くことができる点が手作りのおもしろさだと思います。』
絵付けコース 優秀作品
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4月の優秀作品は・・・亀江 道子 さん です!
絵付け歴:2年 制作時間:約15時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『クリスティーズのオークションカタログより18世紀のセーブルのプレートの図案をベースに作成しました。

本来25pほどのプレート用の図案をそのまま縮小してカップ&ソーサーの図柄としたので、もともと緻密な図案をより緻密に描かなければならなくなりました。慎重な描線は時として硬質な印象に傾きがちですが、セーブルの様式の持つ柔らかな雰囲気を見事に出しています。

細かな反復系の図案の場合、小さな描画単位中の変化にどれだけ気を使えるかが完成度を左右しますが、その点においても申し分の無い出来と言えるでしょう。

今後は是非大きめのストロークを必要とする図案にもチャレンジしてみてください。』
絵付けコース 優秀作品
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3月の優秀作品は・・・福田 早苗 さん です!
絵付け歴:3年 制作時間:約12時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『マイセン様式のブーケをポットに描きました。とても丁寧な描写に加え絵具の調整と筆圧の関係に制作者独自の勘所を見い出し始めているかのような個性が感じられます。

吸収性のない本焼きされた白磁に描くのは最初は戸惑うことが多いのですが、慣れてくると逆にその特性を生かして紙やキャンバスに描いたのでは得難い効果を生み出す事が出来ます。今回の作品はそういった上絵付けならではの、柔らかで軽い色彩の移行を葉や小花の表現に見ることが出来ます。

『日常のティータイムに手描きの器を使う喜び』を実感できそうな自然な仕上がりに好感を感じました。

今後は更に複雑な絵柄や装飾に挑戦すると良いでしょう。』
絵付けコース 優秀作品
絵付けコース 優秀作品
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2月の優秀作品は・・・井出 晃代 さん です!
絵付け歴:3年 制作時間:約16時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径26pのプレートです。ポーラ=コリンズの作例集よりあざみの図案を選ばれました。この作家は中間色のグラデーションに、優美な線描き装飾を加味した美しい作品を多く制作しています。図柄から受けるソフトな印象は、アメリカンスタイルならではのものと言えるでしょう。

これまでヨーロピアンスタイルの図案のみを描いてきたにも関わらず、基本をしっかりと修得した成果が、タイプの異なる様式の図案にも的確に応用されているのがわかります。僅かに色相の異なる色調のタッチで、運筆方向を単純な放射状より微妙にずらしながら重色した花弁をはじめとして、焼成後の絵具の溶け合いの自然さなどからも、作者が制作時の全行程において、いかに集中力を高く保っていたかが伝わってきます。

細かな諸作業を徹頭徹尾しっかりとこなすことが高い完成度につながる事を教えてくれる作品と言えるでしょう。』
絵付けコース 優秀作品
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1月の優秀作品は・・・佐野 千花子 さん です!
絵付け歴:5.5年 制作時間:約18時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径24pと16pのシンプルな皿を大胆に地球と月の天体写真をもとに絵付けしました。一見意外性に目を奪われて唖然としてしまいがちですが、造形的にも興味深いものとなっています。

本来、洋絵具の性質を考慮するとやや危険な厚塗りもここでは表現上の必然性を持って行われています。素地の明度を利用する部分と、不透明な白色顔料によって描く部分の選別が自然に行われている点などは特筆すべき点です。

また構図的にも地である皿の円形と、図であるモチーフの正面図が同じ円形であるため、ほぼ地と図が等価になっている点などは、20世紀の平面美術で取り上げられた問題を思い起こさせ、改めてアートとしての絵付けのおもしろさを感じました。』
絵付けコース 優秀作品
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