2004年 11月の優秀作品

11月の優秀作品は・・・坂尾 有紀 さん です!
絵付け歴:5.5年 制作時間:約12時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『「PAINTING ON PORCELAIN(Georges Miserez-Schira著)」の作品集より図案を選びました。この本はスイスの本ですが、ラスターによるマーブルテクニックや大胆な金彩などが参考になる作品集です。重層効果を巧みに用いる装飾技術は示唆に富んだ内容となっています。
シンプルなリム皿を品のある色味でベースを塗り、金盛り、金彩を施しました。ベースは、色相をずらした2色で重層効果を活かすパディングを行い、その後根気の要る盛り作業を加えました。一つ一つの作業はオーソドックスですが、やり直しがきかないので確実性が要求されました。葡萄の葉や蔓は下描きを行ってもベースが暗くて見辛く絵画的な描画勘の良さで描ききりました。途中焼成温度のずれからくる盛りの剥離などもありましたが粘り強く仕上げました。料理を盛り付けたときに映えるシックで優美な雰囲気に仕上がりました。』
絵付けコース 優秀作品
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9月の優秀作品は・・・小林 美樹 さん です!
絵付け歴:3.3年 制作時間:約14時間(2枚) Congratulations !

先生からのコメント・・・
『マイセンのアンティーク図案より模写しました。ヨーロッパの名窯の持つ図案の傾向はそれぞれ意外なほどの個性があります。ドイツの絵画作品はルネサンス期からやや硬質な自然主義と「森の民」を想起させる野趣に富んだ独特のムードが漂います。このような様式を受け継いだマイセンの絵柄は、平滑な磁器にはとても相性が良いように思われます。
今回の作品は忠実な模写ですが、難度の高いフルーツ図案を大変丁寧に描きあげています。単に図案の再現にはとどまらず、彫塑的量感を得るための陰影表現にこれまでの成果を感じます。写真図版から描く場合、往々にして表面的に似せることに固執してしまいがちですが、描き手の真摯な追求が原画にはない絵画的魅力を放ちはじめている好作例といえるでしょう。』
絵付けコース 優秀作品
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6月の優秀作品は・・・岩本 望 さん です!
絵付け歴:2年 制作時間:約14時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『先月同様ピエール・ジョセフ・ルドゥーテ(仏:1759-1840)の作品を原画を元に描きましたが少し雰囲気の異なるバラのブーケ図で、葉の複雑な位置関係、水滴や葉脈などディテールの徹底した細密描写がやや硬質なタッチで描かれた作品です。
一見尻込みしてしまいがちな図案ですが作者は冷静に作業を進めています。原画から漂う張りから早めにコントラストを出してしまいがちですが、淡いトーンから着実に重色を行っていったのが成功のポイントです。また描写勘に非常に秀逸なものが感じられ、図案との相性も相まった筆力には圧倒させられます。力でねじ伏せる部分と抑制されたハイトーンの描き込みの緊密な関係が、見事に調和した好例といえるでしょう。』
絵付けコース 優秀作品
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5月の優秀作品は・・・浅野 恭子 さん です!
絵付け歴:4年 制作時間:約10時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『ピエール・ジョセフ・ルドゥーテ(仏:1759-1840)華麗な作品を原画として制作しました。ルドゥーテは高度なスティップル・エングレービングと淡彩の独特な併用技法で植物解剖学的な緻密さと天性の感受性でバラをはじめとした多くの貴重な植物画を残しています。
これらの作品群をチャイナペイントで再現する場合、ビュランによる点描に相当する部分をまず繊細に描くことでトーンを確定し、その上に色彩を漂うように置かなければなりません。特に今回の図案は微妙なハーフトーンが主調となっており繊細な感覚が必要となりましたが見事に描出できました。淡い色調の幅の中で量感・空間を両立したのが成功のポイントです。縁部の装飾もさりげない引き締め効果で雰囲気を高めていますね。』
絵付けコース 優秀作品
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4月の優秀作品は・・・碓井 幸子 さん です!
絵付け歴:5年 制作時間:約14時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『1910年代のオールドノリタケの作品をアレンジしてソルト&ペッパーに描きました。現在でも高級なラインに使われるゴールドエッチング技法と掻き落とし技法を駆使した高度な技術を必要とする図柄でした。
原画はもう少し大振りな器に描かれていたため、図案をかなり縮小し精密な作業が必要となりました。金盛りの確かさ、注意深い金彩、暗部の掻き落としの粘り強さ等、どの点をみても高い技術を感じます。底部の「金汚し」も繊細さと大胆さを両立しています。
平面美の色彩と彫塑的陰影美は、同一曲面上に融合させる際、特色ある各工程において「適度な抑制」がポイントとなりますが、自然な仕上がりを見事に得ることができました。』
絵付けコース 優秀作品
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3月の優秀作品は・・・岸 暁美 さん です!
絵付け歴:1.8年 制作時間:約25時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径18pの深めのお皿を5枚セットで制作しました。原画はマイセンの「インドの花」です。
同図案による5枚の反復作業は、集中力と根気と丁寧さが求められる作業でした。ここまで繊細な線描きになると絵具の顔料成分による描き味の差から生じる苦労は大変なものがあるのですが、そのような制作時の困難が完成作からは感じられないほど5枚の統一感は見事です。
絵付けの経験をある程度重ねた時に、図案のバリエーションを「描く楽しみ」から、「使う楽しみ」を求めるように移行した成果が今作には良くあらわれていると思います。
初心者の方への目標として、セットで作ることの充実感を感じさせてくれる作品となりました。』
絵付けコース 優秀作品
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2月の優秀作品は・・・田口 夕佳子 さん です!
絵付け歴:3.5年 制作時間:約12時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径20pのメタ皿にポストカードの図案よりアレンジした和風の図案を描きました。
デリケートな明暗の移行を必要とする図案のため、洋絵具を使って細心の注意をはらいながら描きました。図案の出自が絵付け用ではないので、難しさもある反面オリジナルの要素を盛り込む楽しさが生まれ、特に背景の仕上げにはパール系の絵具を巧みに用いて絹地のような質感を出すことに成功しました。
作業手順に綿密な計画性が必要な図案でしたが、丹念に一つ一つの工程をこなし、背景を着色した場合に起こりがちな主役の図案が散漫になりがちな点もクリアし、気品のある色合いに仕上がりました。
このように、絵付け様式の図案以外から絵柄を選択するのも趣味ならではの醍醐味です。』
絵付けコース 優秀作品
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1月の優秀作品は・・・菊池 由枝 さん です!
絵付け歴:1年 制作時間:約20時間 Congratulations !

先生からのコメント・・・
『直径20pのシンプルなリム皿にオールドノリタケの図案をコピーしました。オールドノリタケはラスターや独特の色盛りが特徴的ですが、この作品では、金盛りや色盛りを忠実に再現すること に成功しています。
作品の完成度の高さから、丁寧さと根気が必要とされる作業領域に対して、作者がいかに真摯な姿勢で取り組んだかがよく表れています。
上絵付けは、絵画的なダイナミズムの魅力と今作のような手工芸的に静謐な作業によるところの魅力の両面を持っていますが、いずれの場合にしても「焼成」というリスクを背負いながら目的を達成しなければならないところが難しさでもあります。そういったリスクを乗り越えて、多彩な技法をひとつの作品に結晶させている点に強い説得力を感じました。』
絵付けコース 優秀作品
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