第4回 「 磁器 」 について 2002/ 11/ 18/ Mon. 戻る 次へ


今回は磁器についてお話します。

上絵付けを皆さんが行う場合磁器に描く事がほとんどですが、この「磁器」は絵画でいうところ紙やキャンバスなどの「基底材」にあたるわけで大まかなことは知っておくと良いでしょう。


一般的に「やきもの」といわれるものは、
 
素地が緻密質のもの
(水の吸収性小)
    ・・・・・ 素地が透明(透光性があるもの) ・・・・・
磁器
    ・・・・・ 素地が不透明なもの ・・・・・
せっ器
素地が多孔質のもの
(水の吸収性大)
    ・・・・・ 釉薬のかかっているもの ・・・・・
陶器
    ・・・・・ 釉薬のかかっていないもの ・・・・・
土器


の4種類に分けられます。

上絵付けでは絵具の良好な発色と微細な表現を必要とするため、素地に白さと緻密さを求めるので磁器は最良の条件を備えています。しかし磁器といってもさまざまな種類があり性質や焼成方法、産地特有の混ざり物によって色合いも異なってきます。

以下に普段使用する磁器の主な種類と特徴を記しました。


  種 類 焼成温度 素地の主な原料 地域・メーカー


硬磁器
(真磁器)
ヨーロッパ型 1,350℃
〜1,435℃
石英・粘土・長石 ローゼンタール(独)等
日本型 陶石・粘土・長石 大倉陶園(日本)等
軟磁器 ヨーロッパ型磁器
(長石質軟磁器)
1,250℃
〜1,320℃
粘土質物・石英・長石など ヨーロッパ各地、瀬戸地方
有田型磁器
(絹雲母質軟磁器)
陶石・絹雲母・カオリン・長石など 有田、九谷、砥部、会津等
ボーンチャイナ
(骨灰磁器)
1,100℃
〜1,150℃
カオリン・長石・牛の骨灰・石英 スポード(英)等

焼成温度は本焼き時の温度。ただし1,380℃で焼かれたものまでを軟磁器とする場合もあるようです。



磁器の素地となる原料は厳密に計量しなければならず、窯内の高熱化学反応を制御することが工業的には大変重要な事となります。また、磁土の成形は陶土に較べて粘性がないぶん経験を必要とします。

皆さんが描かれている磁器製品の成形についてはまた機会を設けてお話したいと思います。

 
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